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印紙税自己申告制度(Stamp Duty Self-Assessment System:SDSAS)の導入

  • 執筆者の写真: Michiyo Okubo
    Michiyo Okubo
  • 6月30日
  • 読了時間: 3分

更新日:6月30日

2025 年税制改革で印紙税の自主申告制度(Stamp Duty Self-Assessment System:SDSAS)への移行が提案され、26年1月以降、段階的に導入されます。自主申告制度への移行に伴い、1月には印紙税監査の実施要領(Stamp Duty Audit Framework)が発効しました。今回は、印紙税に関する最近の動きについてまとめます。


1.マレーシアの印紙税制度


印紙税は、契約書などの文書に対して課税され、現在は税務当局のオンラインシステム「STAMPS」(https://stamps.hasil.gov.my/stamps/)を用いて納税者が課税文書をアップロードした後に当局が納税額を査定し、納税者はその査定額に基づき納税する、という方式が採られています。課税となる文書は印紙税法の別表1に記載されており、文書に記載される金額に応じて税額が決定する従価的なものと、1つの文書に対して固定的に課税される定価的なものに分かれ、主な課税文書は下記になります。

印紙税の対象となる主な文書
印紙税の対象となる主な文書

2.自主申告制度(Stamp Duty Self-Assessment System:SDSAS)への移行


現在、査定方式で運用されている印紙税の納付は、26年1月以降は自主申告制度になり、下記のスケジュールで導入されます。

自主申告制度導入フェーズ
自主申告制度導入フェーズ

3.納付遅延のペナルティと自主開示制度(Voluntary Disclosure:VD)


印紙税は課税対象文書を作成した日付から30日以内に納付する義務があります。国外で締結された場合はその文書を受領した日付から30 日以内に納付します。納付遅延に対するペナルティは下記のとおりです。ペナルティは文書ごとに適用されるため、課税文書を多く作成するような業種であれば納付遅延による税務リスクは大きくなると言えます。

納付遅延に対するペナルティ
納付遅延に対するペナルティ

未納がある場合、納税者は税務監査前であれば自主開示制度を活用することができ、その場合は納付遅延の期間にかかわらず、ペナルティは50リンギまたは不足税額の10%のいずれか大きい額が適用されます。


4.印紙税監査の実施要領(Stamp Duty Audit Framework)


印紙税が自己申告制度になるということは、所得税や販売サービス税と同様、納税者が行った申告に対し当局の監査が定期的に行われる、ということを意味します。1月に発効した印紙税監査の実施要領によると、印紙税の監査は実地もしくは机上監査の手法で実施され、不正等がなければ過去3 年間遡及して行われます。本要領発効後に監査が増加したことに伴い、納税者の過去遡及分への負担増、特に1文書あたり10リンギを納税する雇用契約書に対する過去遡及分の負担増に雇用者から不満の声が上がったことを受け、当局は先日メディアリリースを行い、雇用契約書に関しては下記の措置を設けました。

導入時における特例措置
導入時における特例措置

会社はその企業活動において多くの課税対象となる文書を作成しています。印紙が貼付されていない文書は裁判手続きにおける証拠として認められないことから、今までは訴訟の可能性が高い文書には貼付するが、関連会社間の契約書など訴訟の対象になりにくい文書には貼付しないという、リスクベースに基づいた対応を行う納税者が多い現状はありました。


 自主申告制度と監査実施要領が整備され、今後は当局が印紙税監査にもより重点を置く可能性があります。監査が行われれば納付の有無だけではなく、定価税なのか従価税になるかという論点や、従価税の場合の課税標準額の適正可否についても当局と納税者の解釈の違いで訴訟などを生む可能性もあります。監査の増加を踏まえ、会社は社内で作成する文書に対する印紙税のコンプライアンス状況をレビューすることが推奨されます。

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