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移転価格税制のアップデート~Malaysian Transfer Pricing Guidelines 2024

内国歳入庁(LHDN)は2024年12月、移転価格税制に関するガイドラインと税務調査要領のアップデートを公表しました。今回はその中で実務上重要となるポイントをまとめます。


1.移転価格文書の作成要件


 マレーシアの移転価格文書(ローカルファイル)は、企業が親会社やグループ会社など関連者との取引がある場合に作成義務があります。文書の種類と作成要件は下記の表のとおりで、通常版(フルスコープ)と簡易版があり、企業の賦課年度における事業収入額と関連者取引額の金額により選択します。簡易版は中小企業等の移転価格文書作成に対する負担を軽減するため、スコープを絞った文書になります。本ガイドラインでは新たに作成免除要件が明記されました。

移転価格文書の種類と作成要件
移転価格文書の種類と作成要件

以前のガイドラインと比べると、フルスコープ作成の要件については事業収入が2500万リンギから3000万リンギに増加、関連者取引は1500万リンギから1000万リンギに減少しています。またガイドラインでは、納税者が作成免除に該当する場合でも、関連者取引があればその価格について独立企業間価格ルール(関連者取引を独立した第三者間と同等の条件で行うことを求めるもの)を順守する義務があり、それを証明する文書を保持することを明確にしています。


2.ガイドラインの主なポイント


本ガイドラインの主なポイントは下記のとおりです。


変更点ではありませんが、自社の価格と第三者の価格を比較するベンチマーク分析において、比較対象会社に外国の企業ではなくマレーシア国内の企業を選定すること、複数年の財務データを平均して比較するのではなく、直近の単年財務データを用いることが強調されています。


 移転価格税制に関するアップデートは定期的に行われ、税務調査も増えています。本ガイドラインにおいて移転価格文書を作成すべき納税者が文書を作成しなかった場合、または税務当局の依頼から14日以内にガイドラインに沿った文書を提出しなかった場合、2万~10万リンギの罰金が科せられます。多くの日系企業が親会社やグループ会社との取引があるかと思いますが、今回のガイドラインアップデートを受けて自社がどの要件に該当するのかを判断し、移転価格文書もしくは独立企業間価格を証明する文書を保持することが重要です

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