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日本と海外の事業承継は何が違うのか

ファミリー企業が取り組むべき経営課題の一つに「事業承継」があります。高齢化が進む日本では、事業承継が重要なトピックの一つとして扱われるようになって久しく、事業承継に関する情報もあふれていますが、シンガポールやマレーシアなど東南アジアでは先進国として区分される国でも事業承継は創業者を悩ませる課題の一つです。


事業承継の3つのポイント


事業承継の3つのポイントとして、事業や社長業を誰に、いつ、どのように引き継ぐかという「事業の承継」、保有する株式をどのように引き継ぐかという「経営権の承継」、最後に社長様が保有する財産をどのように引き継ぐかという「財産の承継」が言われます。


事業承継で考慮すべき3つのポイント....read more


この3つは海外の事業承継でも考慮すべきポイントになりますが、海外の事業承継には国内にはないポイントがあります。


最もカギとなる「ヒト」の問題


事業や社長業を誰に引き継ぐかという「事業の承継」は海外特有の難しさがあります。日本でもご子息がいないとか、いても継がない場合もあり、誰を後継者にするかは難しい課題ですが、日本ではご子息は生まれ育った環境の中で、少なくとも社長様が何をやっているかを子供の頃から見ながら成長していくことがほとんどだと思います。


一方、社長様が行っている海外のビジネスは、ご子息が見たことも経験したこともないという場合も多く、そのような場合はご子息への承継は至難の業になります。そうすると、現地の責任者を後継者に育てるのか、それともゆくゆくは手放すのかということは早い段階で考えておく必要があるでしょう。現地の責任者が引き継ぐとなると外国人である場合もあり、言語や文化の違いなどもありますので、日本本社からどのように管理していくかもポイントになります。


「外資規制」の存在


「経営権の承継」に関して、海外特有であると考えられるのは外資規制の存在です。いくつかの国では、その国のビジネスのプレーヤーが外国人ばかりにならないよう、業種によっては外国人が資本として参入できる制限を定めています。最近では外資規制も緩和の傾向が見られますが、社長様がビジネスを始めた当初、この外資規制への考慮から、現地のパートナーとの合弁企業や、現地パートナーの名義で株式を保有している場合があり、社長様の持っている株式を後継者に譲ろうとする際に、障壁になることがあります。


国によって異なる財産の処分方法


海外の所在する財産の処分およびその分配手続きは国の制度によって異なります。海外子会社の株価の算定は、日本と異なり、原則としてその時の価値で評価する必要があります。海外では土地の価格などが高騰している場合があり、海外子会社が土地などを保有する場合、それが株価に反映され株価が高くなることがあります。


変化が速く不確実な時代に海外のビジネスをどう残すのか


ビジネスの変化の速さ、不確実さは増してきています。東南アジアで言えば、10年前には圧倒的優位であった日本製品が、当時「安かろう、悪かろう」と言われていた韓国製、中国製と競合しています。日本特有のきめ細かなサービスにコストをかけ過ぎると、それで競争力が落ちていく場合もあります。


創業者が、自身が積み上げてきたものを自分の世代で終わらせたくないと考えるのは自然なことかと思います。しかしながら、これまで積み上げてきた海外のビジネスが今後も続いていけるものなのか、グローバルサプライチェーンはどう変わっていくのか、競争相手は誰になるのか、ご子息は海外のビジネスを継ぐ資質があるのか、ということを日本国内のビジネスよりもシビアに考える必要があります。一方、最近では海外の現地法人がマーケットやノウハウを蓄積している場合もありますので、事業承継がうまくいき、日本本社から管理できるようなシステムを構築できれば、外貨を稼ぎ日本の人手不足を補う海外現地法人は貴重な存在になるかもしれません。


みらいコンサルティンググループでは、日本国内と海外拠点の専門家が、社長様の「守るべき家業の本質」をお聞きしながら、社長様と一緒に最も適切な承継方法について検討、実行を行います。どうかお気軽にお声がけいただけますと幸いです。





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