会計・監査
会計基準は国際会計基準と同じ会計基準であるMFRS(Malaysian Financial Reporting Standard)と、その中小企業版であるMPERS(Malaysian Private Entities Reporting Standard)があります。日系企業の多くは株式を公開していない閉鎖企業であり、MPERSを選択するケースが多くみられます。
全ての企業と外国法人の支店は年次監査を行う必要があり、監査報告書は会社秘書役を通してマレーシア企業委員会(CCM)に提出します。
税務
01/
法人税
基本税率 :24%。
中小企業には特例措置があり、課税所得の最初の60万リンギまでは17%、それを超える部分は24%の税率が適用
される。中小企業とは、払込資本金が2,500千リンギ以下で払込資本金が2,500千リンギ超の会社に支配されていな
い企業で、年間売上が50百万リンギ以下の企業をいう
納税者区分:居住法人と非居住法人があり、その判定については、その営業の管理や支配(例として、取締役会などの意思
決定など)がマレーシアで行われている場合は居住法人となり、それ以外の場合は非居住法人と判定される
事業年度 :暦年が基準となるが、異なる決算期を選択することも可能
申告・納税 :確定申告は決算期より7か月以内に提出
見積納税(月次予納)の制度があり、企業は事業年度開始日の30日前までに年間法人税の見積を行い、見積額
に基づいて月次予納を行う
課税所得 :国内源泉所得が課税の対象
減価償却費 :会計上の減価償却と税務上の減価償却の考え方は異なり、税務上は税法に規定された有形固定資産のみキャピ
タルアローワンス(税務上の減価償却費)を別途計算し、損金に算入する。建物については産業用建物のみキ
ャピタルアローワンスを計上することが可能。政策上、一部の資産(コンピュータなど)には特別償却の制度
がある
繰越欠損金 :2019年以降、繰越欠損金を利用できる期間は7年間に制限されている
02/
個人所得税
基本税率 :居住者は0~30%の累進税率
非居住者は30%
納税者区分:居住者 → 下記の要件のいずれかに該当する場合
a. 当暦年において、182日以上滞在(就労していたか否かを問わず)
b. 当暦年は182日未満だが、前暦年からあるいは翌暦年に連続して182日以上滞在
c. 当暦年において90日以上182日未満であり直前の過去4暦年のうち3年間居住者であったもしくは90日以上滞
在
d. 過去3年および直後の暦年において居住者となる場合
非居住法人 → 居住者以外。非居住者は暦年60日以下の場合、免税となる
課税年度 :暦年
申告・納税 :確定申告は翌年4月末(電子申告の場合は5月15日)までに提出
給与所得に関しては、雇用者が毎月源泉徴収を行い納税する
課税所得 :国内源泉所得が課税の対象。マレーシア国内で就労している場合、国外で受領した所得であってもマレーシア
の就労に起因するものは課税の対象となる。現物給与(住居、車両など)
所得控除 :基礎控除、配偶者控除、扶養控除、医療費、保険料、ライフスタイル控除など
03/
売上・サービス税(SST)
売上税 :マレーシアで製造される製品、マレーシアに輸入された製品が対象で、基本税率は10%。食料品などの免税措
置あり
サービス税:マレーシア国内で提供されたサービス、マレーシアに輸入されたサービスが対象で、基本税率は10%。課税対
象となるサービスは限定列挙されている
04/
源泉所得税
非居住者法人が下記の所得を得た場合、支払いを行うマレーシア居住法人が源泉徴収を行い納付する
配当 :免税
支払利息 :15%(租税条約適用により10%)
ロイヤリティ:10%
非居住者との工事・サービス契約:13%
サービスの提供(マレーシア国内で提供されたもの)、動産のレンタルなど:10%
(マレーシアと各国の租税条約適用による軽減税率:赤字は租税条約の適用が有利)
05/
キャピタルゲイン税
資産等の譲渡益(キャピタルゲイン)に対しては、不動産等にかかるものを除き課税されない
不動産譲渡益税(Real Property Gains Tax:RPGT)
土地、建物、建造物、またはそれらに付されている権利等の譲渡益または、資産の大半が不動産であるとみなされるような会社(不動産主体会社)の株式を売却した場合の株式譲渡益に対して課税される
税率:5~30%
07/
租税条約
日本とマレーシアが締結する租税条約で、主な項目は下記のとおり
軽減税率 :支払利子(15%→10%)
恒久的施設(PE):建設工事・組立・据付工事および監督:6ヶ月
代理人PEなど
その他 :短期滞在者免税、外国税額控除など
08/
移転価格税制
親会社もしくはグループ会社との取引がある(関連者取引)企業は移転価格文書を作成する義務がある
移転価格文書の構成:国別報告書(CbCR:Country by Country Report)、マスターファイル、ローカルファイル
作成要件(ローカルファイル):
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フルスコープの移転価格文書 → 総売上高が25百万リンギ超、かつ関連者取引の合計額が15百万リンギ超
財務的支援の合計額が、50百万リンギ超
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簡易版の移転価格文書 → 関連者取引がある企業で上記以外の企業