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マレーシアの移転価格税制について知っておくべきポイント

2021年1月より適用開始となった移転価格税制の改正により、移転価格文書の作成を怠った場合や、文書を作成していても調査で移転価格を指摘された場合、赤字企業で結果として追加納税が出なくても移転価格の修正額そのものに対してペナルティが課されることとなりました。税務当局にとっては、非常に税収があげやすい制度になったと言えます。今回は、予想される移転価格分野の更なる徴税強化を見据え、企業が知っておくべきポイントについてまとめます。 1.誰が移転価格文書を作成すべきか?  親会社もしくはグループ会社との取引がある(関連者取引)企業は移転価格文書を作成する義務があります。文書の構成は下記のようになっており、企業の取引規模と関連者取引の規模によりそのスコープが異なります。 2.いつまでに移転価格文書を作成すべきか?  1に該当する企業は、関連者取引の開始と同時期に文書を用意します。文書は毎年更新し、その年の法人税確定申告の提出期限までに作成することになっています。税務署に提出する必要はないものの、税務署が提出を依頼した場合、依頼日より14日以内(2021年より適用、以前は30日)に提出する義務があります。  またグループ全体の売上高が30億リンギ以上の企業グループに属する企業は、親会社の当国での国別報告書(CbCR:Country by Country Report)の提出義務について、マレーシアの税務当局に毎年通知を行う義務があります。 3.作成しなかった場合のペナルティは? 税務署から依頼された日から14日以内に文書が提出されない場合、2万~10万リンギの罰金が課されます(2021年より適用、以前はなし) 税務調査による追徴税額に50%のペナルティが課されます(作成していた場合は0~30%) 4.移転価格調査の現状は?  上のグラフで見られるように、移転価格の調査による税収はここ数年で急激に増加しています。これは、企業の海外の関連会社を含むクロスボーダー取引が増加していることもありますが、移転価格の調査が重点的に行われていることが要因と思われます。また調査にかかる不服申し立てに見る特徴としては、不当なペナルティ、企業が採用している手法や比較対象企業の否認など、税務当局がややアグレッシブに課税していることが見受けられます。 5.企業はどう対応すべきか?  移転価格税制における税務リスクはその金額的なインパクトが大きいため、まだ文書を作成していない企業は、対応が必要かどうかの検討を早急に行う必要があります。すでに作成している企業は、作成している文書が調査に耐えうるものになっているか、比較対象企業の見直しは必要か、グループ企業取引の変更による重要なアップデートはないか、などを確認されてはいかがかと思います。また、OECDは昨年移転価格分析におけるコロナの影響についての実務的なガイダンスを公表しており、影響を受けている課税期間の文書の作成にあたり一考の余地があるかと思います。

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