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マレーシア 追加経済対策 「国民保護と経済復興のパッケージ(PEMULIH)」

ロックダウンで多くの企業が厳しい経営を迫られる中、政府は6月28日に1,500億リンギ(約4兆円)規模の追加経済対策「PEMULIH」を発表しました。今回は、この中から日系企業に関連する項目についてまとめます。 1. 概要  PEMULIHは、6月からのロックダウンによる国民や経済への更なるダメージを危惧し、中小企業や低所得世帯を中心に対策が講じられています。また現在ロックダウンにもかかわらず感染者数が高止まりする中、状況の改善にはワクチン接種をよりスピーディーに行うことが喫緊の課題となっており、ワクチン接種の推進にも焦点が当てられています。 2. 企業への対策  現在、製造業を中心に、企業に対してワクチン接種プログラム「官民パートナーシップ産業予防接種プログラム(PIKAS)」への参加要請が行われています。このプログラムではワクチン自体は無料ですが、企業はワクチン接種のための運営コストまたは接種会場のコストを負担することになります。PEMULIHでは、企業のこれらの費用負担に税の特別控除が付与されます。  人材資源開発ファンド(HRDF)への人的資源開発税の納付は2か月間自動的に免除となり、電気料金の割引は12月まで延長されます。また、観光やホテル業などコロナのビジネスへの影響が大きい業種には、法人税予納の延期や、観光税・サービス税の免税措置が設けられています。 3. 賃金補助プログラム(PSU)  賃金補助プログラムは2020年3月のロックダウン開始時に講じられ、日系企業を含む多くの企業が利用していますが、PEMULIHではその第4弾として全て の業種に2ヶ月間、その後は国家安全保障会議のネガティブリストに記載される業種に対して更に2ヶ月間支給されます。現在は第3弾(PSU 3.0 PEMERKASA+)の受付が行われており、8月から受付を開始する第4弾では対象となる従業員の給与上限が撤廃されますので(PSU3.0までは給与4,000リンギ以下の従業員が対象)企業はより多くの従業員に対して補助を受けることができます。  マレーシア統計局は7月14日、民間および公共セクターの主要な職種で働くマレーシア人フルタイム労働者が受け取る平均月収の統計2020年版を発表しました。それによると、2020年の平均月収は前年比で9%減少し、本統計の発表が2010年に始まって以来、初めての減少となりました。統計局によると、コロナの影響で日本を含む世界の約3分の2の国々で平均賃金の伸び率が低下傾向であったものの、マレーシアのように賃金補助など政府のコロナ対策があった国々では、労務コストを抑えられ結果として失業率をコントロールすることができているとしています 。

マレーシア 追加経済対策 「国民保護と経済復興のパッケージ(PEMULIH)」
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