不動産の賃貸収入にかかる税金
マレーシアで不動産投資を行う方は増えていると思いますが、今回は不動産の賃貸収入がある場合のマレーシアでの税金の計算方法についてまとめます。 1.マレーシアに所在する不動産の収入がある場合、居住者・非居住者に関わらず課税 マレーシア国内法において、マレーシアの不動産収入は課税対象となります。日本の居住者でマレーシアでは非居住者であっても、日本・マレーシアの租税条約では、不動産の賃貸料等は不動産の所在する国(マレーシア)においても課税できるとしています。マレーシアの不動産収入に対して、日本とマレーシアの両国で課税される場合、日本の確定申告で外国税額控除を行い、二重課税を回避します。 居住者は基礎控除などの所得控除があり、0~30%の累進税率が適用されます。非居住者は所得控除がなく、税率が一律30%となります。 2.税務上の賃料収入とは 税務通達において、賃料収入は「事業収入(business source)」と「非事業収入(non-business source)に分かれ、計算方法が異なります。両者の違いですが、賃貸収入に対するメンテナンスやクリーニング、サポート、管理等を事業の一環として自ら行っている場合は事業収入になります。投資不動産を賃貸に出しているケースの多くはnon-business sourceとして区分けされるかと思います。 3. 課税の取り扱い 日本の申告と同様、賃貸収入からかかる経費を差し引いて不動産所得を算出しますが、2で記載した事業収入or非事業収入で取り扱いが異なるものがあります。 項 目 事業収入 非事業収入 計算の開始時期 不動産が賃貸可能の状態(入居可能)になった日 実際に賃貸を開始した日 Initial expense/ 初期費用 損金算入不可(資本的支出とみなす) 損金算入不可(資本的支出とみなす) 損金算入費用 収入を生み出すために発生する費用 下記のような直接経費のみ 固定資産税 関連する借入れ利息 ・火災保険料 ・賃料徴収にかかる費用(法務費用) ・賃貸契約の更新にかかる費用(不動産エージェントフィーなど) ・修理費・害虫駆除など Capital allowance/ 税務上の減価償却費 計上可 計上不可 損失の取り扱い 繰越可能(10年間) 繰越不可 収益を得る前の費用を初期投資(資本的支出)とみなし損金不算入とするのは、マレーシア特有の考え方になるかもしれませんが、事業収入と非事業収入で計算の開始時期が異なることで、初期投資(資本的支出)の計上対象期間が両者においては異なります。 4.申告・納税は期日までにお忘れなく 2023年分個人所得税(給与所得者)の申告期限(非事業収入の場合)は4月30日、電子申告(E-filing: https://ez.hasil.gov.my/ )の場合は5月15日となっています。 無申告や申告の遅延には ペナルティが科されます。申告は期日までにお忘れなく提出されてください。