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国外源泉所得に対する課税

2022年予算案において、マレーシアの納税者が国外で獲得した所得について、これまで免税(マレーシアでは課税せず)としていた措置を変更する(マレーシアで課税する)方針を発表しました。その後、国民の反発もあり、本方針の施行は2026年12月まで延期すると発表していましたが、政府は7月19日にそれを正式に法制化しました。 1. 「全世界所得課税方式」と「国内源泉所得課税方式」  各国の税制を大まかに分類すると、その国の居住者が、その国で稼得した所得のみならずそれ以外の国で稼得した所得も含めて課税を行う「全世界所得課税方式」と、その国の居住者がその国で稼得した所得のみに対して課税を行う「国内源泉所得課税方式」という2つの方式があります。日本やアメリカ、中国などの多くの国々は前者、シンガポールやマレーシアは後者に含まれます。 2. 国外源泉所得に対する免税措置の背景  マレーシアは、これまで銀行、保険、輸送業など一部の業種を除き、マレーシア国外で獲得した所得については免税とする措置をとってきました。  2012年にOECD(経済協力開発機構)が国際的な租税回避に対抗することを目的としたBEPS(税源浸食利益移転)イニシアチブのもとで税に関する国際基準を導入しました。その中で、国外源泉所得の全面的な免税は「有害な慣行(a harmful practice)」であるとし、マレーシアは有害な慣行を持つ国として「グレーリスト」に入れられていました。2019年、政府は今後税の国際基準に沿った税制改革を行っていくとし、国外源泉所得の取り扱いについても何らかの措置を講ずることを公表していました。 3. 2022年予算案における改正案とその後の経緯  予算案において、政府は2022年1月以降、マレーシア居住者(個人・法人)が国外源泉所得をマレーシア国内で受領した場合、この所得を国内所得と合算し、現行の税率(法人税の場合は基本税率24%、個人所得税の場合は累進税率)で課税することを発表しました。その後本方針を撤回、7月19日付で下記のように法制化しました。本法令は2022年1月1日から2026年12月31日まで有効(有効期間)となります。 a. 個人納税者が有効期間内に国外から受領する全ての所得を引き続き免税とする(パートナーシップ収入等一部の所得を除く) b. 法人を含む納税者が有効期間内に国外から受け取る配当を免税とする 4. まとめ 本法令により、所得の発生源ごとのマレーシアでの課税関係は下記のとおりとなります。  本法令は2026年12月までの期限付きであることから、2026年12月以降に本免税措置が終了となれば課税に転じることも想定されます。国外からの収入がある場合には、収入の発生や送金の時期を証する書類を保存しておく必要があります。

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