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電子請求書制度(e-Invoice)導入に向けて

電子請求書制度(e-Invoice)が2024年8月から順次導入されます。今回はe-Invoice の導入に向けたポイントをまとめます。 1. 導入時期を確認 e-Invoice の導入は、下記の図のように24年8月以降順次行われます。年間売上は賦課年度22年の監査報告書に記載されている売上額で判断します。新設法人など、賦課年度22年の売上がなかった会社は25年7月1日の導入になります。 自社の導入時期を確認し、その対応に向けたロードマップをたてることになります。 2. 自社の現状を分析する 導入時期を確認した後は、現在の財務体制(財務システム、会計のアウトソーシングの有無など)や取引先(BtoB, BtoC,海外への発行)を分析します。e-Invoiceは売上の請求書だけではなく、Credit Note、Debit Note、Refundも対象になります。  海外との取引がある場合 e-Invoiceはマレーシア国内の制度になるため、海外との取引がある場合、海外の取引先ではなくマレーシア国内の取引者がe-Invoiceを作成します(self-billed e-Invoice)。海外向けの売上のみでなく、仕入等についても作成します。  取引先がe-Invoice未対応の場合 e-Invoiceは、売り手がe-Invoiceを発行し、それを買い手が認証するシステムになっていますが、e-Invoice 導入スケジュールの移行期間(上記1)においては、売り手と買い手の導入時期が異なることも想定されます。移行期間については、e-Invoiceと現行の自社の請求書を併用することが可能、としています。  会計・財務システムとのリンク e-Invoiceは、税務当局(LHDN)が無料で提供する「MyInvois Portal」か、LHDNのシステムを自社の会計システムにリンクするAPI(Application Programming Interface)用いた形態で行います。前者は会計システムとはリンクしていないため、取引数が少ない場合には向いていますが、多い場合は会計システムに連動させた方が効率的になります。マレーシア国内の会計ソフトは順次e-Invoiceに対応するアップグレード版のリリースを発表していますが、海外のソフトを使用されている場合はその対応を確認し、現在のシステムをアップグレードするのか、新しく変更するのかの検討も必要になります。 3. 対応コストの試算、税制の活用 e-Invoiceは全納税者が対象となりますので、導入に向けたコスト、人員・リソースの確保の要否について事前に検討しておく必要があります。2024年度税制改正案において、ESG関連費用について年間5万リンギを上限とした法人税の損金算入措置が提案され、その中に中小企業を対象としたe-Invoiceへの対応コストが含まれています。財務・業務システムのアップグレードや入れ替えになかなか着手できていなかった会社も、これを機に業務効率化に着手する機会にもなると考えます。

電子請求書制度(e-Invoice)導入に向けて
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