マレーシア:ファミリーオフィス制度
- 11 分前
- 読了時間: 3分
近年、世界的にも増加傾向にある富裕層向けの「ファミリーオフィス(Family Office)」制度ですが、マレーシアでは2025年、ジョホール・シンガポール経済特別区(JS-SEZ)内の「フォレスト・シティ特別金融区」で制度の運用が開始されました。
1.シングル・ファミリーオフィス(Single Family Office:SFO)が対象
ファミリーオフィスとは、富裕層ファミリーの資産の管理、運用をはじめ、一族のために下記のようなサービスを提供する会社であり、マレーシア証券取引委員会(SC)がその認可を行います。
Wealth Management/ 資産運用
Legal, Bookkeeping and Tax Planning/ 法務、会計、タックスプランニング
Insurance and Risk Management/ 保険、リスクマネジメント
Concierge and Family Service/ コンシェルジュおよびファミリーサービス
Governance, Edication and Succession Planning/ ガバナンス、教育、事業承継計画
Philanthropy/ 慈善活動
ファミリーオフィスは単一の家族にサービスを提供するシングル・ファミリーオフィスと、複数の家族を対象とするマルチ・ファミリーオフィス(Multi Family Office :MFO)がありますが、JS-SEZではシングル・ファミリーオフィスのみを対象としています。
下記の図のように、マレーシア会社法2016(Companies Act 2016)に基づき、フォレスト・シティ内に「Single Family Office Corporate Vehicle (SFOV)」と「SFO Management Company (SFO MC)」を家族が100%の株式を保有する形で設立します。SFOVは資産を保有することのみを目的として設立され、SFO MCは家族の利益のために資産および投資を管理する目的で設立されます。

2.主な要件(実体要件)
制度の適用を受けるには、主に以下の条件を満たす必要があります。
(実体要件)
現地の雇用:最低2名の正社員(うち最低1名は月給RM1万以上の投資プロフェッショナル)を雇うこと
拠点:フォレスト・シティ内にオフィスを設置すること
(承認後の10年間)
運用資産残高(AUM): 最低RM3,000万以上を保有・維持すること
マレーシアへの国内投資: AUMの10%または1,000万リンギットのいずれか低い方の額を、マレーシア国内(株式、債券、不動産等)へ投資すること
運営費:年間RM50万以上の運営費を支出すること
(11年目以降)
運用資産残高(AUM): 最低RM5,000万以上を保有・維持すること
マレーシアへの国内投資: AUMの10%または1,000万リンギットのいずれか高い方の額を、マレーシア国内(株式、債券、不動産等)へ投資すること
運営費:年間RM65万以上の運営費を支出すること
現地の雇用:最低4名の正社員(うち最低1名は月給RM1万以上の投資プロフェッショナル)を雇うこと
3.主な優遇税制
投資収益の法人税率:適格投資収益に対する法人税が最長20年(10年+延長10年)間0%となる
資産移転時の税金免除:適格資産(株式や不動産等)をSFO法人へ移転する際のキャピタルゲイン税および印紙税が免除
個人所得税の優遇:SFOで雇用される正社員(ナレッジワーカー)の個人所得税率(最高税率30%)を一律15%に軽減
長期滞在ビザ:ファミリー、主要メンバー向けに、更新可能な10年間の居住パス(Talent Resident Pass)の取得枠を提供
マレーシアの制度は、隣国のシンガポールのSFO制度と比較するとハードルや維持コストが低く設定されている点が最大の魅力です。


コメント