会社の資金繰りを把握するツールとして、資金繰り表を活用されていることと思います。コロナウイルスの影響により、売上が不安定になり、資金繰りが苦しくなっている企業も増えているのではないかと思いますが、今回はWith/Afterコロナにおいて、資金繰り表を見直す際のポイントをまとめます。
1. 目先の資金繰り
手元資金を増やすためには、現金の「入り」を増やすか「出」を抑えるしかありません。緊急時の資金繰り対策は、いかにスピード感をもって対応できるかがカギとなります。
① 現状把握
まずは現状における月次の「損益」と「資金繰り」の予測、または既存の資金繰り表の見直しを行います。下の表にあるようなポイントと手順で、通常は半年~一年先について行います。緊急時は、月中に資金がショートする可能性もあるため、必要であれば「日繰り表」を作り、日々の資金の出入りを把握します。
② 減らす(経費削減)
削減する経費は、緊急性と重要性の視点から判断しますが、一般的には下記のような優先度になります。
消費(事業維持・継続)> 投資(将来成長)>不要不急・浪費
コロナ経済対策で賃金補助など政府からの支援策がありますが、それを活用する場合、その効果額を資金繰り表に織り込みます。
③ 借りる(資金調達)
日本のセーフティネットなどの支援策を、外資企業がマレーシア政府に期待することは難しいですが、マレーシア資本が過半数である中小企業には、低金利での融資制度などがあります。銀行からの融資が難しい場合、本社やグループ会社からの借入、または日本本社の保証による日系金融機関からの融資などを模索することになるかと思います。
④ 延ばす(猶予)
既存の借入金の返済条件を見直すなどして、支払期限を延ばすことができるかを検討します。コロナ経済対策で、税金や社会保険料の納付期限の延長などが行われる場合もありますので、定期的な最新情報のアップデートをおすすめします。
2. 資金繰りの目途が立たない場合
1を行った結果、それでも資金繰りのめどが立たない場合、更に踏みこんだ対応を検討することになります。買掛金の支払期日の延長、売掛金の回収期日の短縮のほか、中期的には、人員削減や外注先の変更、利益を生まない事業・製品からの撤退、資産の売却などが考えられます。
日本でビジネスを行うのとは違い、外資企業が外国の政府に頼れる支援策は決して多くないというのが現状ですが、「明けない夜はない」の思いで、みなさまが今できることを積み重ねて、この局面を乗り切っていかれますことをお祈り申し上げます。
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