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2024年 会社法の改正:実質的支配者(Beneficial Owner:BO)の届け出

2024年4月1日に会社法が改正されました。


その中で、マレーシアの会社登記所(CCM/SSM)に登記されている全ての会社は、改正法に沿った基準で会社の実質的支配者(BO)を特定し、e-BOS(https://ssm4u.com.my/?0)から届け出を行う義務があるとしています。


1. 実質的支配者(Beneficial Owner:BO)とは


BOとは「会社を最終的に所有または支配する自然人」である、としています。BO情報の保管義務自体は既に導入されており、毎年会社の年次報告を行う際に、会社秘書役がBO情報のアップデートを書面にて行っているかと思いますが、本改正ではBOの判定基準を明確にし、届け出をe-BOSで行うこと、開示を怠った場合の罰金等のペナルティなどを新たに規定しています。


2. BOの判定基準


日本でもBOの報告制度はありますが、本改正で明確化されたマレーシアBOの判定基準は日本のそれと少し異なり下記の6つとなります。

BOの判定基準
BOの判定基準

この判定基準に沿えば、会社のBOは複数人になり得ます。判定基準の1、2は形式的なものですが、3~6は実質的な判定になり、会社は保有する関連書類や情報(株主間契約、定款など)を確認し判定することになります。判定の結果、該当者がいない場合は会社のシニアマネージメント層の人を登録します。


3. 名義株主の場合


マレーシアでは特定の業種に算入するには外資規制やブミプトラ規制があり、名義(ノミニー)株主が存在する会社も一定数あるかと思います。本改正のガイドラインでは、名義株主のアレンジがある場合に会社は実質的な支配者を特定し、届け出を行う義務があることを明記しています。今回の流れは、マネーロンダリングに関する政府間レベルの機関であるFATF(金融活動作業部会)勧告に沿ったものであり、今後は名義株主に加え名義取締役などの開示要件などにも着手していくものと考えられます。


日系企業の場合は日本の本社が株式や支配権を保有することも多いと思いますが、日本の本社が株主である場合でも、本社の最終の個人株主まで遡って報告します。BOに変更があった場合は14日以内に届け出を行います。BO報告は会社秘書役から依頼が来ると思いますが、本改正におけるBOの判定基準に沿って正しく報告することが求められます。

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