2025年:デジタル化が進んだ税務行政
- 1月5日
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マレーシアの税務行政にとって25年はデジタル化が飛躍的に進んだ一年となりました。デジタル化は納税者の利便性を高め、税務当局は税の徴収を促進するうえで有効な手段となります。「税務のことは税務コンサルタントに任せている」という方も多いと思いますが、今回は納税者や経営者として知っておいた方が良いポイントをまとめます。
1. MyTaxポータル(https://mytax.hasil.gov.my/)
これまでの税務行政は、納税者が税目やその目的により個々のサイトにアクセスし、または税務署の窓口で行うものでした。税務当局は、ここ数年でMyTaxポータルを使った税のワンストップサービスを導入してきましたが、25年はこれがほぼ完成形に近づいた形となりました。
MyTaxは全ての納税者がアクセスできるサイトです。IDとパスワードを登録しログインすると、まず個人の画面に切り替わり、自身の個人所得税の申告、納税・還付履歴等の全ての情報を把握できます。

納税者が会社の取締役でもある場合、個人のサイトから会社としての機能「Director of Company」または雇用者の機能「Employer」に行くことができます。会社と雇用者の機能を持つ場合、法人税、源泉所得税、印紙税、タックスクリアランス、e-インボイス等、ほぼ全ての税目と関連業務にアクセスすることが可能です。給与の所得税の納税は会社の人事部が行う場合もありますが、雇用者のサイトから従業員への役割付与を行うことができます。MyTaxには税務署への質問やフィードバック、税務担当官との個別面談を調整する機能もあります。

税務当局は、イミグレーションオフィスと連携し、税の滞納がある納税者の出国を停止する場合があり、自身がこの制限の対象になっていないかをMyTaxから確認することができます。納税者が会社や雇用者の権限も持っている場合は、個人の納税だけに限らず会社としての納税も含むため、会社を含む納税全般の納付遅延や、税務調査を受けている場合は賦課決定の状況等を把握することが重要です。

2. Malaysian Income Tax Reporting System (MITRS)
25年賦課年度から、法人税の通常の申告に加えて、MyTax内にあるMITRSを通じた申告が開始されました。MITRSは下記の2つのモジュールで構成されます。

通常は税務調査が始まると、税務書に証憑類(ハードコピー)を郵送したり、調査官にメール添付で送付していますが、今後はMyTaxを利用したやり取りが想定されます。
3. 税務周辺業務のデジタル化
本ブログ「Malaysian Business Reporting System (MBRS) 2.0の完全義務化」で、25年6月以降、会社の登記関係を管轄するマレーシア企業委員会(SSM)に監査報告書を提出する際に、MBRSという報告プラットフォームを利用した財務情報の提出が義務化されていることをお伝えしました。財務データをXBRLという国際的に共通の形式に組み替えてアップロードする形で提出し、財務情報だけではなく、会社の登記関係もこのプラットフォームを利用した報告が行われています。税務の情報と合わせて、政府は非上場会社でもある程度比較可能性や検証性の高い会社の情報を入手することが可能になります。
昨年から導入されているe-Invoiceは、「税の捕捉」という点において大きな動きとなりました。e-Invoiceに税務行政のデジタル化が加わることで、税務当局は税を網羅的に効率よく徴収する手段を構築したと言えます。一方で、納税者側は確かに納税の利便性は上がりましたが、税のリスクに関してはより敏感になる必要があります。税務について、税務コンサルタントや従業員に任せきりになるのではなく、最低限の理解と、現状把握を意識する税務・デジタルリテラシーについて痛感させられた一年となりました。


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