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外国人の従業員積立基金(EPF)加入義務

  • 執筆者の写真: Michiyo Okubo
    Michiyo Okubo
  • 7月31日
  • 読了時間: 3分

2025年税制改革で提案された、外国人の従業員積立基金(EPF)加入義務についての法案が通過し、25年10月以降導入されます。今回はその概要についてまとめます。


1.従業員積立基金(EPF)の概要


EPF はマレーシアの年金制度で、現在は企業に勤務するマレーシア国民、永住権保有外国人の従業員に納付が義務付けられ、本人と雇用者が負担します。外国人は任意で加入することができます。基本料率は下記のとおりですが、雇用者の場合5%、個人の場合年間10万リンギを上限に任意で積み増すことができます。


従業員積立基金(EPF)の基本料率
従業員積立基金(EPF)の基本料率

 日本の年金は、現役世代が受給世代を支える制度ですが、マレーシアのEPFは「積み立て方式」で、就労した期間を通じ、自身と雇用者が積み立てた額に運用利回りがプラスされ、将来、自身が受け取ることができる制度です。現在、EPFは下記のアカウントに分かれており、人生の各ステージで引き出すことが可能になります。


EPF アカウントと引き出し要件
EPF アカウントと引き出し要件

 EPF 基金は2024年末現在1兆2,500億リンギで世界13番目に大きい年金基金と報じられてい

ます。運用利回りはここ数年5~6%で推移しており、マレーシア人にとって安定定な退職後の資産となっています。このような観点から、自身で料率を積み増したり、雇用者が福利厚生の一環もしくは採用時のインセンティブとして雇用者側の料率を積み増したりする場合もあります。また、任意でEPF に加入する外国人も少なからず見られます。


EPF 運用利回りの推移:EPFサイトより作成
EPF 運用利回りの推移:EPFサイトより作成

2.外国人のEPF加入、10月スタート


外国人の強制加入は10月の給与からスタートし、料率は雇用者・個人がそれぞれ2%負担することになります。開始時は2%ですが、段階的にマレーシア人の水準まで引き上げられることが予定されています。


 対象者は雇用パスを持つ外国人で、駐在員や外国人労働者が該当します。これらは既に労災給付である従業員社会保障制度(SOCSO:Social Security Organization)の対象になっていますが、EPF への外国人の登録にあたっては現在、自動登録の設定を含めて政府が検討しているところです。


3.必要に応じた給与設計の見直しも


現在は個人所得税の計算において、EPFの個人負担部分については年間4,000リンギまで所得控除することができます。EPFを引き出した場合は非課税の取り扱いとなります。


 赴任者が日本と海外の社会保障制度に二重加入することになった場合、日本を含むいくつかの国々は2国間で「社会保障協定」を締結しており、保険料の二重負担を防止するための調整を行うことができます。しかしながら、マレーシアはまだこの協定には加盟していません。今後、料率が段階的に引き上げられれば、本人の負担も増加するため、EPFの負担に関する会社としての給与設計の見直しが必要になることも考えられます。

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