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デジタル通貨取引にかかる税務上のガイドライン~GUIDELINES ON TAX TREATMENT OF DIGITAL CURRENCY TRANSACTIONS~

 マレーシア内国歳入庁(IRBM)は2022年8月、「デジタル通貨取引にかかる税務上のガイドライン ~GUIDELINES ON TAX TREATMENT OF DIGITAL CURRENCY TRANSACTIONS~」を新たに公表しました。2019年5月に「電子商取引(E-commerce)に関する税務上のガイドライン」が公表され、その中にデジタル通貨取引に関する記載もありましたが、仮想通貨の浸透に伴い、より詳細な指針を示す必要性が高まったとのことでの公表となります。本ガイドラインは全ての納税者(個人・法人)に適用されます。


1. デジタル通貨の取得(購入)および処分(売却)の税務上の取り扱いに関する一般的な考え方 


 マレーシアでは、原則として資産等の譲渡益にかかる税(キャピタルゲイン税)は不動産等の譲渡にかかる利益に課され、金融商品などの譲渡益については、それが事業としての収入でない限り課税されません。株式や債券、仮想通貨などの金融商品から得た譲渡益が事業収入(課税の対象)になるか否かは、その納税者が事業としてアクティブに取引を行っているかどうかが判断基準になります。事業とみなされると、納税者はその所得を「事業所得」として申告しなければならない一方で、事業とみなされなければその利益には課税されないことになります。

 

 税務当局が過去の税務裁判などの判例に基づき、納税者の行っている取引が事業となるか、それともある程度の収入を生み出すだけの単発的な行動なのかを判断するために使用する指標に「Badges of Trade」というものがあり、デジタル通貨取引の場合、下記のような判断基準になるとしています。

(Badges of Trade:デジタル通貨取引が事業とみなされる判断基準)
(Badges of Trade:デジタル通貨取引が事業とみなされる判断基準)

 「Badges of Trade」は金融商品に限った指標ではなく、例えば自身で作成した工芸品を販売するなど、最初は趣味で始めたことがいつしか組織的かつ体系的な方法で取引が繰り返して行われるようになりその性質が変化していくような場合など、あらゆる取引に適用されます。金融機関などの関連分野で働く人が、その知識や経験を活用して自身や第三者のためにアクティブに取引を行っているような場合も想定されます。


2. 個別事例における税務上の取り扱い


 主な個別事例における税務上の取り扱いは下記のとおりです。


a. 「事業所得」としてのデジタル通貨売買取引の利益の計算

 デジタル通貨の売却を「売上」、その購入価格を「仕入」として利益を計算します。


b. 仮想通貨のマイニングにかかる利益

 その行為が利益の追求を目的として行われている場合、課税対象となります。


c. 支払い等がデジタル通貨で行われた場合の会計記録上の取り扱い

 売上、仕入れ、給与の支払い、資産の購入などをデジタル通貨で行った場合、取引日におけるデジタル通貨の市場価格でリンギに変換した価格を用いて会計記帳を行います。尚、取引が行われたデジタル通貨の市場価格がない場合は、取引されたモノ・サービスの市場価値を用いることになります。


3. 記録を保存することの重要性


 デジタル通貨で行われる取引は、基本的に書面で記録が残ることは少ないと思います。よって、税務当局からの問い合わせや、調査に耐え得る最低限の記録は何等かの形で残しておく必要があります。本ガイドラインでは保存すべき情報として、通常の取引でも求められる請求書や領収書のほかに、取引の性質を判断するための記録(仮想通貨に関するホワイトペーパーを含む)やリンギへの交換レートを裏付ける資料などを適宜保存することを求めています。




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