2022年政府予算案の中で発表されていた「自主開示プログラム(Voluntary Disclosure:VD)」の概要が2021年12月29日に関税局より発表されました。
1. 自主開示プログラム(Voluntary Disclosure:VD)とは
本プログラムは、過去に納税者が税務申告を怠っていた、もしくは少なく申告していたような場合に、その申告や修正を促す目的で、特定の期間に申告納税を行えばその本税やペナルティを軽減または免除するというものです。2018から2019年にかけて内国歳入庁(LHDN)が所得税に対し同様のプログラムを行いましたが、今回は関税局が間接税全般に対して行います。
納税者側には、税務調査等で追徴されれば最大で40%のペナルティが課されところを、この期間に自主的に申告することで税負担が軽減されるというメリットがあり、税務当局側には税収を上げることができるメリットがあります。所得税に対して行われた同プログラムでは、約60億リンギの税収を上げています。
2. VDプログラムの概要
本プログラムは、2022年1~9月までの期間で、下記の2フェースに分けて行われ、対象となる税目は下記のとおりです。2018年に廃止された物品・サービス税(GST)も含まれます。2021年10月31日以前に申告義務が発生しているものが対象です。
3. 計算例
ペナルティと本税の免除率については、ケースごとに分けられます。具体的な計算例は下記のとおりで、フェース1の期間に申請と納付を済ませた方がより金額的なメリットが得られます。
4. 申請・申告フロー
申請は、MyVA(https://myva.customs.gov.my/)からVA-01フォームを提出して行います。関税局の審査を経て、結果はVA-02フォームで通知されます。その結果に基づいて指定期限内に納付を行うと、納税証明が発行されるフローになっています。このフローに沿って申告納付された期間について、関税局が将来的に税務調査を行うということはありません。
5. 対応策
関税局によると、本プログラムの終了後、2023年10月から無申告の納税者に対する税務調査を本格的に開始し課税を強化するとしています。企業は、これを機に過去の申告状況が法令に沿ったものになっているかを今一度チェックのうえ、本プログラムを適用することで税務リスクを軽減することができるかを判断することをお勧めします。
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