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税効率のよい福利厚生制度とは

更新日:2023年8月4日

福利厚生は、会社が従業員やその家族のために提供する給与や賞与以外のサービス・制度で、従業員の生活やモチベーションを向上させ、より働きやすい環境を整えることで従業員の定着や会社への貢献につながることを目的としています。福利厚生費は、会社の法人税の計算上、損金に算入できるか否かという側面と、便益を受けた従業員の個人所得税の計算(給与計算)上、所得控除できるか否かという側面があります。福利厚生費の税制上の取り扱いを知ることで、税効率のよい福利厚生制度を設計することができます。


1.Benefit-in-kinds(現物給与)


税務通達では、会社が従業員に給付する福利厚生のうち、金銭的価値があるが金銭に換金できない性質の給付をBenefit-in-kinds(現物給与)としています。現物給与は、原則としてそれを享受した従業員の追加給与になり、個人所得税の計算上所得の額に含めることになりますが、車両等の資産を供与する場合などは、その取得価格と税務当局が提供する耐用年数で算出した額か、もしくは簡便法として規定される額のいずれかが所得に加算されます。また、下記のような給付については、一部または全額が非課税になります。

現物給与の一部または全額が非課税となるもの
現物給与の一部または全額が非課税となるもの(Public Ruling No.11/2019)

上記は会社の法人税の計算上も控除可能となります。尚、現物給与が会社を支配できる株主や取締役に供与される場合は非課税にはなりません。


2.Perquisites(手当)


税務通達では、会社が従業員に給付する福利厚生のうち、金銭として給付するものはPerquisites(手当)と定義されます。手当も原則として課税されますが、下記のような給付は一部または全額が非課税になります。

手当の一部または全額が非課税となるもの
手当の一部または全額が非課税となるもの(Public Ruling No.5/2019)

上記は会社の法人税の計算上も控除可能となります。現物給与と同様に手当に関しても、会社を支配できる株主や取締役に供与される場合は非課税にはなりません。


3.金銭的支出以外の福利厚生


人材紹介会社が行った調査では、従業員が会社に望む待遇として、給与やヘルスケアなどの金銭的支出のほか、リモートワークなどのフレキシブルな働き方や研修・スキルアップなどの制度面も上位にあがっています。研修・キャリア開発という点では、マレーシアには人的資源開発基金(HRD Corp)があり、雇用者に対し下記のような拠出要件を規定しています。


  • 10人以上のマレーシア人従業員を雇用する会社: 加入義務あり、拠出料率は月額給与の1%

  • 5~9人の会社:加入は任意、拠出料率は月額給与の0.5%

拠出をする雇用者は、従業員への研修や技能のアップグレードのためにHRD Corpの制度を利用することができ、HRD Corpに登録する研修業者が提供する研修を補助金付きで利用することができます。



人事制度は「評価制度」「賃金制度」「等級制度」の3本柱から成ると言われますが、ライフスタイルやキャリアに対する考え方の変化に伴い、福利厚生や教育制度などの重みも増してきています。また、従業員が望む福利厚生は世代によっても異なる調査結果が出ています。会社が採用市場において魅力的な就職先として認知されるには、会社が目指す方向性や世代、職種に応じた福利厚生制度を持っていることは一つの強みとなります。それが会社と従業員にとって税効率のよいものであれば、会社の財務的な成長とブランド力の両方を中長期的に得ることができるのではないかと思います。



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