2022年労働安全衛生改正法(OCCUPATIONAL SAFETY AND HEALTH (AMENDMENT) ACT 2022:OSHA) が6月1日から適用開始になりました。
旧法では製造業等の特定業種が対象範囲でしたが、改正法では原則マレーシア国内の全ての職場環境にその対象が広がっており、違反に対する罰則が強化されています。
雇用主は本改正法を理解し、対応を講じる必要があります。
1.適用業種の拡大
旧法では、製造業、建設業、卸売業、小売業などの特定の業界にのみに適用されていました。改正法では、原則としてマレーシア全土のすべての職場に OSHA の適用範囲が拡大されています。
2.リスク評価の実施義務
雇用主は、職場の安全と従業員の健康に影響を及ぼすリスクについてその評価を実施する義務があります。リスク評価により、安全と健康のリスクを排除または軽減する必要があると判断された場合、その対策を講じる必要があります。
3.労働安全衛生コーディネーター(Occupational Safety and Health Coordinator)の任命
5人以上の従業員いる場合、雇用主は従業員の1人を労働安全衛生コーディネーター(SHC)に任命することが義務付けられています。このコーディネーターを中心にして、職場の安全と従業員の健康を確保するための施策を組織内で決定し、実行していくことになります。この要件は、労働安全衛生責任者 (SHO) を必要としない職場に適用されます。
4.請負業者および下請業者の安全確保義務
職場に請負業者や下請業者などの従業員が発注者の指示の下で働いている場合、発注者はその従業員の勤務中の安全と健康を確保する必要があります。
5.緊急時の手順策定およびその実施
雇用主は、業務中に発生する可能性のある緊急事態に対処するための手順を策定し、実施する必要があります。
6.より厳しい罰則規定
改正法では、下記のような安全違反に対する罰則が大幅に引き上げられています。
職場での従業員の安全、衛生、健康を確保しなかった場合、または安全衛生ポリシーを確立しなかった場合の罰金の最高額を RM50,000 から RM500,000 に引き上げ
一般的な違反(OSHA第51条)への罰金の最高額を RM10,000 から RM100,000 に引き上げ。違反が継続した場合、罰金は違反が継続する日数ごとに RM1,000/日 から RM2,000/日 に増額
当局からの改善または通知に正当な理由なく従わなかった場合(OSHA第48条)の罰金の最高額を RM50,000 から RM500,000 に引き上げ。違反が継続した場合、罰金は違反が継続する日数ごとに RM500/日 から RM2,00/日 に増額
安全衛生委員会の設置を怠った場合の最高罰金を RM5,000 から RM100,000 に引き上げ、最長懲役刑を 6 か月から 1 年に延長
安全衛生担当者の任命を怠った場合の最高罰金を RM5,000 から RM50,000 に引き上げ
7.会社が違反した場合の個人への責任
会社がOSHA に違反した場合、より広範囲の個人が連帯責任および個別責任を問われる可能性があります。これには次の個人が含まれます:
取締役、コンプライアンス担当者、パートナー、マネージャー、秘書、または会社内の類似の役員
上記と同様の立場で行動する、または何らかの立場で企業の業務を管理する責任を負う個人
会社の経営を支援する個人
OSHAでは、これらの個人が、当該違反行為が本人の知らないうちにまたは本人の同意なしに行われたことを証明できず、違反行為を防ぐためにあらゆる合理的な予防措置を講じ、相当の注意を払ったことを証明できない限り、違反行為の責任を負うとしています。
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